日本近代文学会 関西支部会報 1
一九九七年五月十日発行 関西支部事務局

会報発刊によせて           玉井敬之

 今度会報を出すことになった。関西支部はこれまで春の大会では若い研究者を中心にして、日頃の研究成果を発表してもらい、また一昨年までは秋の大会はテーマをたててシンポジウムを開催し、そのときにはテーマにふさわしい研究者を招き、支部の研究者とともに多面的な視点から尖鋭な問題提起を行なってきた。そのシンポジウムの発言は「解釈と鑑賞」誌に掲載された。

 しかし、支部の活動はこれに尽きるものでない。情報の交換や専門分野での交流は不断に続けられなければならないだろう。支部の役割は、むしろこのあたりにあるといってよいのであって、春秋の大会はその一つというべきだろう。発足当初からみれば当然の事ながら支部会員は増えた。研究対象も方法も多様化している。これに対応することができなければ、学会とはいわれないだろう。支部への要望も多くの会員が抱いているのではないだろうか。真剣に討論しなければならない時期にきているのではないだろうか。

 幹事会ではもう何年も前から支部のありかたをめぐって話し合いがなされてきた。論集や研究誌の発刊も話題になり名簿の発行も考えられ検討された。もちろん会報の発行もその一つであったがその都度見送られてきた。条件が整っていなかったのだろう。

 最近、幹事会や運営委員会では機会ある毎に支部の運営について話し合われてきた。具体的な案も出された。大会に備えてレジュメを発送することや、昨年の春の大会における規約改正もその現れであった。

 そうして今度の会報の発行となったのである。昨秋の大会前に開かれた幹事会において会報の発行が議題となったが、発行にともなって事務を担当する運営委員の負担は大きいことが予想された。事務の増大により、担当者の研究が停滞することを恐れたのは当然である。しかし、研究者間の交流や情報の提供はその分野に関係する会員に欠くことのできないものを与えるのではないかということで決まったのである。そこには運営委員の熱意があった。

 会報発行の呼びかけに応じて会員各位のご協力をいただいた。私の予想をはるかに超える支部会員のお仕事の量であった。日本近代文学の研究は急速に発展、深化しているとともに変容もしている。このリストを一覧していると質においてもそれが如実に反映されているように思われる。ご協力をいただいた会員諸氏に厚くお礼を申し上げます。

 会報発行で煩雑な事務を担当して下さり多くの負担をお掛けした運営委員の諸氏にもお礼を申し上げます。

 最後になりましたが、支部会員諸氏にはこのリストを十分にご活用下さいますように。さらにその利用のためのご提言をお寄せ下さいますように。

 一九九七年四月二十九日

事務局より ※関西に在住、またはお勤めの日本近代文学会会員の方で、まだ関西支部の会員として登録なさっていなかった方々に入会のお誘いのご案内をさしあげたところ、三月三十一日の段階で、新たに三十四名の方が会員としてお加わりになりました。ここにご報告申し上げます。

※会員業績をお送りいただいた同じ封書中に、支部運営につきましての意見等をお書きくださった方もおられました。幹事会に報告したく存じます。


会員・この一年の業績(一九九六年四月〜一九九七年三月)
  アイウエオ順・敬称略

〈凡例〉
 著書名……『 』
 論文名……「 」
 掲載誌紙名……『 』

※著書、論文(その他を含む)の順にそれぞれ発表順に並べた。
※発行年、雑誌の巻号数は省略した(発行月のみとした)。

 四月〜十二月……一九九六年
 一月〜三月……一九九七年

※同一の誌名等が他に存する場合にかぎり、発行母体を加えた。
※インターネット版作成の際、機種依存文字や外字は修正した。

ア行の部

赤瀬雅子
〇「東西演劇にみる悪の美―河竹黙阿弥とモリエール―」(七月、『桃山学院大学人間科学』)
〇「現代舞踊史の一側面―ラテンアメリカからヨーロッパへ―」(九月、『桃山学院大学国際文化論集』)
〇「永井荷風におけるアンリ・ミュルジェールの影響―ボエームへの憧憬」(一月、『桃山学院大学人間科学』)

明里千章
〇「谷崎潤一郎・「盲目物語」の周縁」(二月、『昭和文学研究』)
〇「「盲目物語」への階梯―削除された初稿〈序文〉をめぐって」(三月、『金蘭国文』)
〇「《未発表資料紹介》谷崎潤一郎「盲目物語」初稿―翻刻・解題―」(三月、『金蘭国文』)

浅田隆
〇「『テクストはまちがわない』か?」(十二月、『漱石研究』)
〇「『こころ』解釈をめぐる疑義―「差異化」という視点―」(十二月、『論究日本文学』)
〇「葉山嘉樹と「満州」―抵抗と挫折の果てに―」(第五回日中シンポジウム記録文集『近代日本と「満州」』、十二月)

芦谷信和
〇「独歩「窮死」三つのポイント」(『文学・社会へ地球へ』、九月、三一書房刊)
〇「ワーヅワースをめぐる独歩の湖処子批判 第二弾」(三月、『花園大学文学部研究紀要』)

石谷春樹
〇「芥川龍之介「大導寺信輔の半生」攷―虚構からの肉迫―(上)」(八月、『解釈』)
〇「芥川龍之介「大導寺信輔の半生」攷―虚構からの肉迫―(下)」(十月、『解釈』)
〇「金子光晴「落下傘」読解―〈読み〉の可能性―」(一月、『鳥羽商船高等専門学校紀要』)
〇「芥川龍之介「少年」論―追憶・失望への旅―」(三月、『叙説』)

出原隆俊
〇「甦える古語・ウツシヨの行方」(九月、『國文學』)
〇「《典拠》と《借用》―水揚げ・出奔・《孤児》物語―」(『論集樋口一葉』、十一月、おうふう刊)
〇「「貧民倶楽部」の周辺」(二月、『叙説』)

一條孝夫
〇『大江健三郎―その文学世界と背景』(二月、和泉書院刊)
〇「河東碧梧桐・井上理三郎編『湖泊堂蔵書目』について」(十二月、『帝塚山学院短期大学研究年報』)
〇「古白と早稲田派」(三月、『子規博だより』)

入江春行
〇「「明星」そのままから「明星」ばなれへ」(四月、『日本研究』)
〇「平出修の初期歌論」(六月、『平出修研究』)

梅本宣之
〇「彷徨する自我―高見順の道程」(十月、『季刊文学』)
〇「『かげろふの日記』覚え書」(十二月、『帝塚山学院短期大学研究年報』)

越前谷宏
〇「新刊紹介・浅田隆著『葉山嘉樹』」(六月、『解釈と鑑賞』)
〇「『さざなみ軍記』論の前提―典拠となった『平家物語』―」(十二月、『龍谷大学論集』)

太田登
〇「シンポジウム『一握の砂』をめぐって」(三月、『解釈と鑑賞』)

大田正紀
〇「有島武郎と島崎藤村」(『有島武郎研究叢書』第八集、八月、右文書院刊)
〇「遠藤周作「影法師」試論―サディズムあるいは同性愛の克服」(十月、『梅花短大国語国文』)

大橋毅彦
〇「詩「室生犀星氏」における歩行のヴィジョン」(四月、『室生犀星研究』)
〇「陰画としての田端文士村 あるいは絡みつく蔓草の変奏空間―短篇小説「猫簇」からの視界―」(十二月、『室生犀星研究』)
〇「日本近代文学に現われたロップス像に関する一考察」(三月、『ヨーロッパ文学研究』)

小笠原幹夫
〇『歌舞伎から新派へ』(七月、翰林書房刊)

小川直美
〇「城―田舎からの手紙― ―ヒューマニズム再建への模索―」(四月、『阿部知二研究 城からの手紙』)

カ行の部

菊池真一
〇『明治期講談の基礎的研究』(八月、私家版・科研報告書)
〇「大正期京阪の講談―京都日出・大阪毎日両新聞に見る―」(三月、『甲南女子大学研究紀要』)
〇「『定本与謝野晶子全集』未収録歌考―「大阪毎日新聞」より―」(三月、『甲南国文』)

木村小夜
〇「芥川童話における〈因果〉再検討―「蜘蛛の糸」から「魔術」へ―」(二月、『福井県立大学論集』)
〇「太宰治「裸川」論」(三月、『叙説』)

工藤哲夫
〇「『黄いろのトマト』―〈二人だけ〉の世界―」(十一月、『解釈と鑑賞』)
〇「トシの臨終と日蓮遺文・守護経」(三月、『叙説』)

久保田暁一
〇『三浦綾子の世界―その人と作品―』(四月、和泉書院刊)
〇「三浦綾子『母』解説」(角川文庫、四月、角川書店刊)
〇「湖国の文人」(四月、『湖国と文化』)
〇「外村文学の母胎」(六月、『滋賀作家』)
〇「カミュに対する椎名の批判」(七月、『自由の彼方で』)
〇「三浦綾子の人と文芸」(十月〜現在連載中、『湖畔の声』)
〇「外村繁初期作品の世界」(二月、『滋賀作家』)
〇「平野栄久『大江健三郎わたしの同時代ゲーム』書評」(三月、『キリスト教文芸』)

倉西聡
〇「伊藤整「石狩」「浪の響のなかで」論―〈性〉と〈罪〉の方法化」(十二月、『武庫川国文』)

黒田大河
〇「『風雪』小論―或いは、宝木善内は「悪魔」か?―」(四月、『阿部知二研究』)

サ行の部

佐藤和夫
〇「五島美代子―母性の世界―」(十二月、『神戸親和国文』)

真銅正宏
〇『永井荷風・音楽の流れる空間』(三月、世界思想社刊)
〇「幸福=宮本輝」「メタ・テクスト=金井美恵子」(八月、『國文學』)
〇「宮本輝『オレンジの壺』解説」(講談社文庫、十一月、講談社刊)
〇「柳川春葉『生さぬ仲』/継子物の系譜―明治大正流行小説の研究(五)―」(十一月、『人文学』)
〇「荷風ブーム」(一月二十二日、『京都新聞』)
〇「岡本韋庵『支那遊記』翻刻(その二)」(有馬卓也と共著、二月、『言語文化研究』)
〇「荷風万華鏡 永井荷風著作解題」(三月、『ユリイカ』)
〇「小栗風葉『青春』/議論の効用―明治大正流行小説の研究(六)―」(三月、『人文学』)
〇「岡本韋庵『支那遊記』翻刻・訳註(その三)」(有馬卓也と共著、三月、『徳島大学国語国文学』)

清水康次
〇「芥川龍之介書目」(十二月、『光華女子大学研究紀要』)
〇「恋愛の論理―夏目漱石の『それから』―」(『恋のかたち―日本文学の恋愛像』、十二月、和泉書院刊)
〇「芥川龍之介『少年』論」(三月、『叙説』)

鈴木昭一
〇翻刻「藤村記念館蔵 島崎正樹自筆遺稿「無題」その二」(六月、『帝塚山芸術文化』)
〇翻刻「諸家所蔵 島崎正樹(重寛)自筆遺稿拾遺その一」(六月、『青須我波良』)
〇「『夜明け前』と島崎重寛自筆「日記」(断簡) 付翻刻」(九月、『島崎藤村研究』)
〇翻刻「諸家所蔵 島崎正樹(重寛)自筆遺稿拾遺その二」(十二月、『青須我波良』)
〇「『夜明け前』と『名古屋市史 政治編第一』」(三月、『帝塚山芸術文化』)

須田千里
〇「書物の外側―泉鏡花の著書から―」(四月、『館報池田文庫』)
〇「芥川龍之介『第四の夫から』と『馬の脚』―その典拠と主題をめぐって」(八月、『光華日本文学』)
〇「本文と書誌―『紅葉全集』から―」(十月、『日本近代文学』)
〇「西蔵への旅、西蔵からの旅―久生十蘭論?―」(十二月、『叙説』)
〇「『奉教人の死』の詩的中心」(三月、『叙説』)

相馬庸郎
〇「正宗白鳥『お伽噺・日本脱出』」「深沢七郎『風流夢譚』」(七月、『國文學』臨時増刊)

タ行の部
高桑法子
〇『幻想のオイフォリー―泉鏡花を起点として』(三月、小沢書店刊)

高阪薫
〇「『春』の構想と展開の再検証」(四月、『甲南大学紀要』)
〇「シンポジウム島崎藤村『春』をめぐって 『春』構想の作品化に見る二、三の問題―場と空間の変容―」(八月、『解釈と鑑賞』)
〇「『はまべのうた』論―島尾作品における位置と役割―」(三月、『甲南大学紀要』)

田中邦夫
〇「『浮雲』の完結(二)」(一月、『大阪経大論集』)

田村修一
〇「阿部知二初期作品にみる知性と情念―「化生」及び「日本のじぷしい」より―」(四月、『阿部知二研究』)
〇「芥川龍之介「地獄変」論―汚れなき娘の死による良秀の救済―」(六月、『立命館文学』)
〇「芥川龍之介「地獄変」の語り手について」(一月、『解釈』)

塚田満江
〇「『胡砂吹く風(半井桃水痴史)』の風土」(五月、『日本文学風土学会 紀事』)
〇「小説主人公の造型 その五―『胡砂吹く風』考 補遺―」(三月、『日本文学風土学会 紀事』)

寺横武夫
〇『井伏鱒二〈昭和作家のクロノトポス〉』(東郷克美と共編、六月、双文社出版刊)
〇「井伏鱒二の原風景」(『井伏鱒二〈昭和作家のクロノトポス〉』、六月、双文社出版刊)
〇「解題」(十二月、『井伏鱒二全集』第四巻、筑摩書房刊)
〇「解題」(三月、『井伏鱒二全集』第五巻、筑摩書房刊)

鳥井正晴
〇「明暗評釈 六 補遺(第二章)、第三章?第六章」(三月、『相愛国文』)

鳥居真知子
〇「福永武彦における志向と「暗黒意識」―『冥府』から『幼年』の「闇」の実体に迫る―」(四月、『甲南大学紀要』)

ナ行の部

中川成美
〇「こわれゆく女―ジェンダー・イデオロギーとしての〈愛の言説〉―」(七月、『昭和文学研究』)
〇「国民国家の形成と『太陽』―海外情報欄をとおして―」(十二月、国際日本文化研究センター『日本研究』)
〇「新感覚派という〈現象〉―モダニズムの時空―」(三月、栗原幸夫編『文学史を読みかえる1 廃墟の可能性』、三月、インパクト出版会刊)

中田睦美
〇「〈秀しげ子〉のために―芥川龍之介との邂逅以前―」(十二月、『論究日本文学』)

永渕朋枝
〇「透谷、宗教と文学との間―西洋文学受容と関わって―」(三月、『叙説』)

生井知子
〇「有島武郎と志賀直哉 ―ある恋愛事件への反応をめぐっての一考察―」(「有島武郎研究叢書」第八集『有島武郎と作家たち』、六月、右文書院刊)
〇「志賀直哉全集未収録資料紹介補遺2」(十月、『同志社女子大学日本語日本文学』)
〇「志賀直哉・有島武郎」(十二月、『文学・語学』)

奈良崎英穂
〇「〈耽溺〉に病む文士―泡鳴『耽溺』と〈梅毒〉神話―」(二月、『城南国文』)

二木晴美
〇「研究動向・中原中也」(七月、『昭和文学研究』)
〇「三木卓詩「スープの煮えるまで」「客人来たりぬ」2篇・井上靖詩「北国」「木乃伊」「前生」3篇解説」(『日本名詩集成』、十一月、学燈社刊)

西垣勤
〇「有島武郎と近代文学」(「有島武郎研究叢書」第八集『有島武郎と作家たち』、六月、右文書院刊)
〇「椎名麟三の初期メモ―「永遠なる序章」まで」(七月、『椎名麟三―自由の彼方で』)
〇「「坊ちゃん」の背景」(十月・十一月、『礫』)
〇「「彼岸過迄」論」(二月、『国語年誌』)
〇「白樺派の文学」(『日本文芸史』第六巻 近代2(三月、河出書房新社刊)

野口裕子
〇「円地文子著『朱を奪うもの―三部作―』論―主人公滋子の特徴的心性をめぐって―」(五月、『人文論究』)
〇「円地文子著『妖』の構造をめぐって」(三月、『日本文藝研究』)

野田直恵
〇「岡本かの子『東海道五十三次』試論」(二月、『國文學論叢』)

信時哲郎
〇「乱歩の浅草/浅草の乱歩―「押し絵と旅する男」論―」(五月、『山手国文論攷』)
〇「いのちの代償―宮沢賢治「山男の四月」論―」(二月、『神戸山手女子短期大学紀要』)

野村幸一郎
〇「天地生存の思想―国木田独歩論序説」(四月、『解釈』)
〇「鴎外文学と天皇制―『かのやうに』について」(七月、『鴎外』)
〇「川端康成『浅草紅団』論」(三月、『大阪青山短大国文』)

ハ行の部

硲香文
〇「静の一面―『心』小考」(五月、『漱石研究』)
〇「『夢十夜』「第十夜」考―ゴンチャロフ「オブローモフ」と庄太郎―」(三月、『叙説』)

橋本威
〇「主要参考文献目録一覧」他(『樋口一葉事典』、十一月、おうふう刊)
〇「一葉『われから』覚え書き(下)」(十二月、『梅花女子大学文学部紀要』)

半田美永
〇『証言阪中正夫』(四月、和泉書院刊)
〇「和歌山県近代文学史稿―文化的土壌の確認とその意義―」(十二月、『皇學館大學紀要』)

平林一
〇「島崎藤村の文明論―『夜明け前』から『東方の門』へ―」(九月、『島崎藤村研究』)

深江浩
〇『漱石の二〇世紀』(十月、翰林書房刊)

福地邦樹
〇「大阪と現代詩」4(八月、『大阪商業大学商業史研究所紀要』)
〇「伊東静雄の晩年の詩想」(十二月、『大阪商業大学論集』)

細江光
〇『芦屋市谷崎潤一郎記念館資料集(二)雨宮庸蔵宛谷崎潤一郎書簡』(十月、芦屋市谷崎潤一郎記念館刊)
〇「文学者と住空間」(六月、岩波講座『日本文学史』第一三巻「二〇世紀の文学2」、岩波書店刊)
〇「偽造太宰治書簡」「中河与一宛書簡一通」(七月、『太宰治研究』)
〇「雨宮庸蔵氏宛谷崎潤一郎書簡をめぐって」(九月、『芦屋市谷崎潤一郎記念館ニュース』)
〇「雨宮庸蔵氏所蔵山田孝雄書簡紹介」(十二月、『芦屋市谷崎潤一郎記念館ニュース』)
〇「谷崎潤一郎・永井荷風」(十二月、『文学・語学』)
〇「谷崎潤一郎関連資料・松阪青渓著『菊原検校生ひ立の記』紹介」(三月、『甲南国文』)

マ行の部

槙山朋子
〇「燃ゆる頬」(九月、『解釈と鑑賞』) 〇「堀辰雄と萩原朔太郎―『音楽』という語を手がかりに―」(三月、『同志社国文学』) 増田周子 〇「宇野浩二未発表書簡六十三通」(八月、関西大学『国文学』)
〇「近世期以後の宇野浩二家」(三月、関西大学『国文学』)
〇「宇野浩二未発表書簡百三十通―広津和郎・田中直樹・舟木重信・森谷均・中村光夫・小島政二郎・日本文学報国会編輯部宛―」(三月、関西大学『国文学』)

宮内淳子
〇「『グウドル氏の手套』あるいは自伝的小説について」(十二月、『解釈と鑑賞』別冊「井上靖 詩と物語の饗宴」)
〇「藤枝静男の七〇年代―描かれた無機物の諸相」(二月、『帝塚山学院大学 日本文学研究』)
〇「お伽噺の国」への通路―『蓼食ふ虫』をめぐって―」(三月、『淵叢』)

宮薗美佳
〇「夏目漱石『虞美人草』に関する考察―小野さんの「母」「両親」探しを軸として―」(六月、『日本文藝研究』)
〇「夏目漱石「琴のそら音」考―「余」の見た「幽霊」のもたらしたもの―」(十二月、『人文研究』)

村橋春洋
〇『夢の崩壊―日本近代文学一面―』(三月、双文社出版刊)
〇「「かげろふの日記」論」(九月、『解釈と鑑賞』)

森本隆子
〇「『桜の実の熟する時』論―空虚としての自我、あるいは遡及できない起源―」(三月、『叙説』)

ヤ行の部

安森敏隆
〇『近代短歌と現代短歌』(末竹淳一郎と共編、三月、双文社出版刊)
〇「漱石と子規の写生―〈写生文〉と〈叙事文〉―」(十二月、『漱石研究』)
〇「現代短歌の基礎的研究」(十二月、『同志社女子大学学術研究年報』)
〇「若山牧水―『朝の歌』」(二月、『解釈と鑑賞』)

山田博光
〇「大佛次郎とナショナル・トラスト」(『文学・社会へ地球へ』、九月、三一書房刊)

山本勝正
〇「夏目漱石参考文献目録7」(七月、『広島女学院大学日本文学』)

山本欣司
〇『樋口一葉事典』(十一月、おうふう刊)
〇「出会わない言葉の別れ―『わかれ道』を読む―」(『論集樋口一葉』、十一月、おうふう刊)

山本捨三
〇『近・現代詩苑逍遥―朔太郎・順三郎・光晴ら―』(五月、おうふう刊)

ラ行の部

ワ行の部

渡辺孝夫
〇「『みだれ髪』と樗牛「美的生活論」」(三月、『大阪明浄女子短期大学紀要』)

和田博文
〇『風呂で読む宮澤賢治』(六月、世界思想社刊)
〇『現代詩誌総覧1 前衛芸術のコスモロジー』(共編著、七月、日外アソシエーツ刊)
〇『現代詩誌総覧2 革命意識の系譜』(共編著、二月、日外アソシエーツ刊)
〇「マスメディアとモダニズム」(『岩波講座日本文学史』第13巻、六月、岩波書店刊)
〇「1920年代の『横顔』―文学と美術を越境した同人誌」(六月二十七日、『産経新聞』夕刊)
〇「神戸モダニズムの外部性―第二次『羅針』と一九三〇年代」(七月、『社会文学』)
〇「酒・ドラッグ=中島らも」「異化=荻野アンナ」(八月、『國文學』)
〇「極東の国のアリス」(九月、『彷書月刊』)
〇「眼球譚―宮澤賢治と光学装置」(十月、『現代詩手帖』)
〇「望遠鏡と異化作用」(十二月、『早稲田文学』)
〇「瓦礫の上を星は流れる―井上靖の詩」(十二月、『解釈と鑑賞』別冊「井上靖 詩と物語の饗宴」)
〇「『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』―ラビリンスへと増殖する小説言語」(二月、『國文學』臨時増刊号)
〇「稲垣足穂と武石浩玻―春の霞に消えた飛行機」(二月、『彷書月刊』)
〇「詩が外部に開かれていた時代―『海盤車』と『HOMMAGE A PAUL ELUARD』」(三月、『詩と思想』)
〇「前衛芸術のネットワーク―萩原恭次郎『死刑宣告』のコンテクスト」(栗原幸夫編『文学史を読みかえる1 廃墟の可能性』、三月、インパクト出版会刊)


※編集だより

・誤字脱字誤記等、お気付きの点、またご意見などがございましたらお知らせください。
・一九九六年度分(四月より翌九七年三月)以外の業績につきましては勝手ながら割愛させていただきました。ご海容下さい。
・学術論文とは何か、という規定で疑問をお抱きの方もあるかと存じますが、本欄の趣旨が業績審査ではなく交流のためとのことですので、厳密に「学術」という言葉に拘泥しませんでした。どうぞよろしくご理解ください。
・次号以後は、送られてきたものをすべて、そのまま載せるという基本方針にしたいと思います。
 

(本欄文責真銅)